用語集
バッファ
余裕時間、トータルフロート、フリーフロート、スラック、スケジュールバッファ
バッファ とは、ほかの日程を危うくせずに アクティビティ をずらしたり延ばしたりできる時間です。トータルフロートが 3 日あるアクティビティは、プロジェクトの終了を遅らせずに 3 日遅れて終わることができます。トータルフロートはプロジェクトの終了を、フリーフロートは後続アクティビティの最早開始を守ります。
現場で「バッファ」と言うとき、実は 3 つの別のものを指しています。混同すると、存在しない余裕を前提に計画することになります。
バッファにはどんな種類があるか
| 種類 | 出どころ | 意味 |
|---|---|---|
| 余裕時間(トータルフロート、フリーフロート) | ネットワーク図の計算から生じる | スケジュールのロジックがアクティビティに残す余地 |
| 依存関係のリード/ラグ | 自分で入力する | 2 つのアクティビティ間の固定の待ち時間または重なり |
| スケジュールバッファ(プロジェクトバッファ) | 意図的に計画する | リスクに備える予備。多くは期限の手前に置く |
余裕時間は クリティカルパス法 のフォワードパスとバックワードパスで求めます。トータルフロートがゼロのアクティビティがクリティカルパスを構成します。ネットワーク図での計算手順は 余裕時間(フロート) で順を追って説明しています。
トータルフロートとフリーフロートの違い
- トータルフロート(TF): プロジェクトの終了を動かさずにアクティビティが遅れてよい時間です。TF = LS − ES(最遅開始 − 最早開始)。
- フリーフロート(FF): どの後続アクティビティの最早開始も動かさずに遅れてよい時間です。FF = 後続の ES − 当該アクティビティの EF。後続が複数あるときは最小値を取ります。1
フリーフロートがトータルフロートを上回ることはありません。後続のないアクティビティでは両者は等しくなります。
計算例:展示会用のチラシ
チラシは 4 つのアクティビティでできています。レイアウト(A)と原稿執筆(B)は同時に始まり、校正(C)は原稿の後、印刷(D)はレイアウトと校正済み原稿の両方を待ちます。期間は営業日、計算は 0 日目から始めます。
| アクティビティ | 期間 | 先行 | ES | EF | LS | LF | TF | FF |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| A レイアウト作成 | 6 | なし | 0 | 6 | 0 | 6 | 0 | 0 |
| B 原稿執筆 | 2 | なし | 0 | 2 | 3 | 5 | 3 | 0 |
| C 原稿校正 | 1 | B | 2 | 3 | 5 | 6 | 3 | 3 |
| D 印刷 | 2 | A, C | 6 | 8 | 6 | 8 | 0 | 0 |
印刷はレイアウトを待つため 6 日目に始まります。B と C にはそれぞれ 3 日のトータルフロートがありますが、これは同じ 3 日です。原稿(B)が 2 日遅れると校正(C)も 2 日遅れて始まります。プロジェクトは 8 日目に終わりますが、C の余裕は 1 日しか残りません。トータルフロートは経路 B、C のものであり、個々のアクティビティのものではありません。一方、C のフリーフロートは C だけのものです。校正はほかのアクティビティに影響せず 3 日遅れて終われます。
依存関係のリード/ラグとは
つながった 2 つのアクティビティの間に、固定の時間を設定できます。プラスの値(ラグ)は乾燥や納品などの待ち時間をつくり、マイナスの値(リード)は ファストトラッキング のような重なりをつくります。これは予備ではなく、経路を延ばしたり縮めたりします。例で C と D の間に経営陣の承認のため 1 日のラグを入れると、C のフリーフロートは 3 日から 2 日に減ります。依存関係の種類は 依存関係のタイプ を参照してください。
スケジュールバッファはどう計画するか
クリティカルパス上では余裕時間はゼロです。そこでの見積もり誤差やリスクに備えるには、独自の予備が必要です。たとえば最終マイルストーンの手前に「プロジェクトバッファ」というアクティビティを置きます。Eliyahu M. Goldratt のクリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントは、こうした予備を最後のプロジェクトバッファと、合流点に置く合流バッファにまとめます。2 予備の大きさは、標準偏差つきの PERT 見積り や モンテカルロ・シミュレーション から導きます。
バッファでよくある間違い
- 余裕を二重に数える: 例の B と C が持つ余地は合わせて 6 日ではなく 3 日です。
- 余裕を早く使い切る: 副経路のトータルフロートを最初の週に使い切ると、その経路がクリティカルになり、後で余地がなくなります。
- ラグを予備と読む: 依存関係に入れた 2 日のラグは計画上の期間であり、クッションではありません。
Merlin Project でバッファを確認するには
Merlin Project は 2 種類のバッファを別々の項目で扱います。
依存関係のリード/ラグ: ガントチャートで依存関係の矢印をクリックし、インスペクタの リード/ラグ フィールドに期間を入力します。アクティビティの 依存関係 タブにある リード/ラグ 列を編集することもできます。時間や日などの単位では先行アクティビティの作業時間カレンダーを考慮し、e時間や e日では経過時間で数えます。マイナスの値で重なりができます。
計算された余裕期間: Merlin Project はネットワーク計算の結果を 4 つの属性に保存します。
- 期待される開始日の余裕期間: 最も早い開始日と最も遅い開始日の差です。
- 期待される終了日の余裕期間: 最も早い終了日と最も遅い終了日の差です。
- 期待される最長の余裕期間: 後続アクティビティを遅らせずにずらせる期間(フリーフロート)です。
- 期待される余裕期間の合計: 開始日と終了日の余裕期間のうち小さい方の値で、プロジェクトの終了を遅らせずにずらせる期間です。
作業分割の表示で 期待される最長の余裕期間 と 期待される余裕期間の合計 の列を表示してください。ネットプランの PERT 表示でも、各カードに余裕期間が表示されます。リソースの平準化も余裕期間を使います。プロジェクト設定の 利用状況 タブでオプション 余裕期間内でのみ を選ぶと、Merlin Project はアクティビティを余裕期間内でのみ延期し、プロジェクトの終了日は動きません。ネットプラン、依存関係タブ、リソースの平準化は Merlin Project の機能で、Merlin Project Express にはありません。